【プロが解説】弾性塗料とは?外壁を長持ちさせる賢い選び方と注意点
外壁塗装を検討する際、「どの塗料を選ぶか」は、建物の耐久性や美観を左右する重要なポイントです。なかでも近年注目されているのが、高い伸縮性と防水性を兼ね備えた「弾性塗料」です。
弾性塗料は、外壁のひび割れ(クラック)に追従しやすく、水の侵入を防ぐ効果があるため、モルタル壁やひび割れが起きやすい外壁材との相性が良いとされています。一方で、選び方を誤ると、期待した効果が得られないばかりか、施工不良や早期劣化を招くリスクもあります。
そこで本記事では、
・弾性塗料のメリット・デメリット
・種類ごとの特徴や用途の違い
・失敗しない選び方と注意点
をわかりやすく解説します。外壁塗装を長持ちさせたい方、ひび割れ対策をしたい方にとって、後悔しない塗料選びのヒントが詰まった内容です。ぜひ最後までご覧ください。
📌 目次
弾性塗料とは?定義・種類・注意点をわかりやすく解説
◆ 弾性塗料の定義と特徴
弾性塗料とは、ゴムのような高い伸縮性(弾力性)を持つ塗料のことを指します。一般的な塗料と比べて柔軟性が高く、外壁のひび割れに追従して塗膜の破断を防ぎ、雨水の侵入を抑える効果が期待できます。
この伸縮性は、塗料に含まれる樹脂に「可塑剤(かそざい)」などの添加物を加えることで実現されます。ただし、近年は可塑剤を使わずに伸縮性を持たせたタイプも登場しており、選択肢が広がっています。
なお、伸縮性のない硬質な塗料を使用すると、外壁のクラックがそのまま塗膜に伝わり、雨水の浸入・塗膜の剥離などのリスクが高まります。こうした問題を未然に防ぐためにも、弾性塗料は重要な役割を果たします。
◆ 弾性塗料の種類とそれぞれの特性
弾性塗料には、性能や施工工程の違いにより、以下の3種類に大別されます。
■ 単層弾性塗料
・特徴:下塗り1回+上塗り2~3回で完了。
・メリット:上塗り材を厚く塗ることでひび割れへの追従性を確保。
・用途:主に戸建住宅の外壁塗装。施工が比較的簡単で、コストを抑えられるのが魅力です。
■ 複層弾性塗料
・特徴:下塗り1回+中塗り2回+上塗り2~3回の多層構造。
・メリット:中塗りに専用の弾性層を形成し、高い防水性と耐久性を実現。
・用途:屋上やベランダなど、特に防水性能が求められる箇所に使用されます。
・注意点:工程が多く、施工費用が高くなる傾向があります。
■ 微弾性塗料
・特徴:主に下塗り材として使用され、表面の微細なクラックにも対応可能。
・施工:下塗り1回+上塗り1~2回で完了。
・注意点:上塗り材の厚塗りは塗膜割れの原因になるため、塗布量の調整が必要です。
◆ 弾性塗料が適している下地と施工時の注意点
◎ 弾性塗料が向いている下地:モルタル外壁
モルタル外壁は、経年劣化や地震の影響でヘアークラック(細かいひび割れ)が発生しやすい素材です。弾性塗料は、こうしたクラックに追従することで建物の防水性を高め、美観も維持できます。
△ 注意が必要な下地:窯業系サイディング
一方で、窯業系サイディングには弾性塗料の使用が推奨されないケースもあります。理由は以下の通りです:
・蓄熱性が高く、塗膜が熱で軟化して膨れやすい
・既に湿気を含んでいると、膨れ・剥がれが起きやすい
・通気性のない塗膜が、サイディング材の劣化を早める可能性も
そのため、窯業系サイディングに弾性塗料を使用する際は、下地の状態確認と的確な下地処理(例:浸透型シーラーの使用など)が必須です。
特に、既存塗膜に膨れや剥離が見られる場合は、弾性塗料の使用を避けるのが賢明です。
弾性塗料の選び方|後悔しないための比較ポイントと判断基準
弾性塗料は、建物の防水性や耐久性を大きく左右するため、目的に合った正しい選び方が非常に重要です。ここでは、塗料の性能・価格・機能などの観点から、失敗しない選定ポイントを解説します。
◆ 耐久性・耐候性の比較は「樹脂の種類」がカギ
弾性塗料の性能は、主成分である樹脂の種類によって大きく変わります。以下に代表的な樹脂ごとの特徴をまとめます:
樹脂の種類 | 特徴 | 耐久性 | 価格帯 | おすすめの用途 |
---|---|---|---|---|
アクリル樹脂 | 低価格で施工しやすい | ★☆☆☆☆ | 安い | 短期的なメンテナンスが前提のケース |
シリコン樹脂 | 耐久性・コストのバランスが良い | ★★★☆☆ | 中程度 | 一般住宅の外壁塗装に最適 |
フッ素樹脂 | 高い耐候性・耐久性 | ★★★★★ | 高い | 高層住宅・塩害地域など長期耐用が求められる環境 |
ポイント:
・「10年程度の耐用年数を求めるならシリコン樹脂」
・「メンテナンス周期を長くしたいならフッ素樹脂」
といったように、建物の立地やライフサイクルに合わせた選定が必要です。
◆ 価格と性能のバランスを見極める
弾性塗料の価格は、「樹脂の種類」「機能性」「塗装工程(単層・複層)」によって大きく異なります。
ただし、高額な塗料=ベストな選択とは限りません。
たとえば、
■ 単層弾性塗料は施工費が抑えられますが、防水性はやや低め。
■ 複層弾性塗料は高性能ですが、費用や工期がかかります。
そのため、選定時は「初期費用だけでなく、10〜15年後までのメンテナンスコストを含めて総合的に判断」することが重要です。
◆ 機能性の確認|塗る場所・環境に応じて最適な性能を選ぶ
弾性塗料には、防水性以外にも以下のような機能性付加タイプがあります:
機能性 | 主な目的 | 適した環境・条件 |
---|---|---|
防水性 | クラック追従、水の浸入防止 | モルタル外壁・ベランダ・屋上 |
防カビ性・防藻性 | カビ・コケの発生を抑制 | 湿気が多い北面や日陰 |
防汚性 | 汚れの付着を防ぐ | 都市部や交通量の多い地域 |
塩害対策 | 塩分の劣化から塗膜を守る | 海沿いの住宅や工場地帯 |
選定ポイントは、「本当に必要な機能に絞って選ぶ」ことです。すべての機能を盛り込むと価格も上がるため、建物の立地や外壁材の状態に応じて優先順位を明確にすることが大切です。
弾性塗料の施工と注意点|高性能を引き出すための基本ポイント
弾性塗料は高機能な塗料ですが、正しい施工と適切なメンテナンスがなければ、その効果を十分に発揮できません。この章では、施工前の準備から施工後の管理まで、失敗しないために押さえるべき注意点を解説します。
◆ 下地処理が仕上がりを左右する
弾性塗料の性能を最大限に発揮させるには、下地処理の質が極めて重要です。下地処理が不十分な場合、塗膜の密着性が悪くなり、剥がれ・膨れ・早期劣化などのトラブルが発生するリスクがあります。
主な下地処理工程:
・高圧洗浄:ホコリ・カビ・劣化塗膜などの除去
・ひび割れ補修:シーリングやフィラーでの補修処理
・素地調整:吸い込みムラの調整や下地の平滑化
塗料の性能は「どんな下地に塗るか」で大きく変わります。どんなに高性能な塗料でも、下地が悪ければ長持ちしません。
◆ 使用塗料ごとの施工方法を把握する
弾性塗料には複数のタイプがあり、それぞれに最適な施工手順があります。
塗料の種類 | 主な工程 | 特徴 |
---|---|---|
単層弾性塗料 | 下塗り1回 → 上塗り2~3回 | 比較的簡単で低コスト |
複層弾性塗料 | 下塗り1回 → 中塗り2回 → 上塗り2回以上 | 高い防水性・耐久性を持つが高コスト |
微弾性フィラー(下塗り) | 下塗りに使用 → 上塗りは通常塗料 | クラック補修に優れ、下地調整力が高い |
さらに、施工時の天候条件にも細心の注意が必要です。
特に注意すべきなのが「雨」「高湿度」「極端な高温・低温」。これらの環境下では塗膜不良が起こりやすく、施工品質を大きく損なう要因になります。
◆ 施工後も定期点検と清掃が重要
弾性塗料を塗ったからといって、そのまま放置してよいわけではありません。
耐久性を長く保つためには、施工後の定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
おすすめのメンテナンス例:
-
5年に1回を目安に外壁の点検
-
カビ・藻の発生時は中性洗剤などで洗浄
-
塗膜の剥がれや膨れがあれば早期に補修を依頼
弾性塗料は柔軟性が高いため、外壁にかかるストレスを和らげてくれる特長がありますが、完全に劣化を防げるわけではありません。
定期的なチェックと必要に応じた再塗装が、建物の美観と寿命を守るカギになります。
まとめ|弾性塗料で外壁を美しく、長持ちさせるために
弾性塗料は、高い伸縮性と優れた防水性を兼ね備えた外壁塗装材として、多くの建物で採用されています。本記事ではその基本的な定義や種類、性能の違い、適した下地、施工時の注意点まで詳しく解説しました。
ただし、弾性塗料はどの建物にも万能というわけではありません。
使用する塗料の樹脂の種類(アクリル・シリコン・フッ素など)や、外壁材の状態、予算、立地環境などを踏まえ、最適な製品と施工方法を選ぶことが成功のカギとなります。
また、施工の質はもちろん、定期的な点検・メンテナンスを継続することが、塗膜の性能を長く保つポイントです。
外壁塗装は、見た目の美しさだけでなく、建物全体の寿命にも大きく関わります。
弾性塗料の特性を正しく理解し、信頼できる業者とともに最適な塗装プランを検討することで、将来的なコスト削減と安心につながる外壁リフォームを実現できるでしょう。
外装工事やリフォームは、信頼できる業者選びと適切な判断が重要です。
施工方法や費用を比較しながら、最適なプランを選びましょう!
屋根工事に慣れていない会社が施工をすると雨漏りにつながることもあります。
会社選定はしっかりと見極めましょう!
そして無料点検・見積もりを活用し、早めのメンテナンスを心がけましょう!
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