家が浸水したらどうする?被害直後から住宅復旧までの完全ガイド
- リフォームの基礎知識
大雨や台風で家が浸水すると、まず気になるのは室内の片付けや、安全の確保だと思います。浸水直後にやるべきことについては、写真の撮り方や罹災証明の申請、片付けの手順まで含めて詳しく解説した記事がありますので、初動対応がまだの方はまず以下をご確認ください。
【関連記事:水害に遭ったら最初にやること10選|写真・片付け・罹災証明・保険・修理まで解説】
【関連記事:床上浸水したら最初に何をする?安全確保から片付け・修理までの手順】
この記事では、その先——室内がひと段落したあとに見落とされがちな、外壁・基礎・屋根まわりといった「外装」の点検ポイントに絞って解説します。外装は普段、雨や風から住宅を守っている部分だからこそ、浸水によってダメージを受けていても、パッと見ただけでは気づきにくいという特徴があります。そのまま放置してしまうと、数か月後、数年後になって初めて不具合が表面化するケースも珍しくありません。
「室内は片付いたけれど、外側は何を見ればいいのかわからない」という方に向けて、外壁材・シーリング・基礎・屋根・雨樋・軒天・破風鼻隠しまで、部位別に確認ポイントをまとめました。
外装の点検は、なぜ室内の片付けとは別に必要なのか
床や家財の浸水被害は目に見えてわかりやすい一方、外壁の内部や基礎まわり、屋根の裏側といった部分は、外から見ただけでは異常に気づきにくいという特徴があります。特に次のようなケースでは、外装の点検が後回しになりがちです。
- 室内の片付けだけで手一杯になり、外まで手が回らなかった
- 「浸水は床下・床上だけの話」だと思い込んでいた
- 外壁や基礎は水に強い素材だと思っていた
しかし外壁や基礎は、素材によっては内部まで水分が入り込みやすく、シーリング(コーキング)の劣化箇所から水が侵入しているケースもあります。屋根や雨樋は浸水そのものよりも、水害時の強風や飛来物によって傷んでいることもあります。まずは、どこを・どう確認すればよいのかを部位ごとに見ていきましょう。
外壁・シーリングの浸水被害チェックポイント
外壁材の種類別に見られやすいサイン
外壁は使われている素材によって、浸水による影響の出方が異なります。ご自宅の外壁がどのタイプに近いか、確認しながら読み進めてみてください。
- 窯業系サイディング:水を吸いやすい性質があり、変色・膨張・反りが出ることがある。塗装が劣化していると、より水分を吸収しやすくなる
- 木質系サイディング:腐食やカビが発生しやすく、特に注意が必要な素材。木部特有のにおいの変化にも注意する
- モルタル・塗り壁:もともとひび割れが起きやすく、そのひび割れ部分から水分が浸入して内部の劣化につながることがある
- 金属系サイディング:素材自体は水に強いものの、裏側の下地や断熱材が水分を含んでいるケースがあるため、表面上の変化がなくても油断しない
いずれの素材でも、水位跡より下の部分に変色やめくれ、浮き、膨らみなどが見られる場合は、表面だけでなく内部まで水分が入り込んでいる可能性があります。素人目には判断が難しい場合も多いため、気になる変化があれば早めに専門業者へ相談しましょう。外壁材そのものの寿命やメンテナンス時期については、以下も参考になります。
【関連記事:外壁メンテナンスの時期と費用|外壁材別の周期と劣化サイン・放置したときのリスクを解説】
シーリング(コーキング)の劣化サイン
外壁材のつなぎ目や窓周りに使われているシーリング材は、経年劣化していると水の侵入経路になりやすい部分です。ひび割れ、痩せ(細くなる)、剥離(外壁からはがれる)などが見られる場合、浸水時に水がここから壁内部に入り込んだ可能性があります。
特に、建築から10年以上メンテナンスをしていない住宅では、シーリング自体の寿命が近づいていることも多く、今回の浸水をきっかけに全体の状態を確認しておくとよいでしょう。目視で気になる箇所があれば、写真に残しておくことをおすすめします。
基礎のひび割れ・沈下チェック
基礎は建物全体を支える、いわば住宅の土台にあたる重要な部分です。浸水後は、以下のような変化がないか、無理のない範囲で目視確認してみましょう。
- ひび割れ(特に幅が広がっている、長さが伸びているもの)
- 基礎と地面の間にできた隙間や段差
- 基礎表面の変色や、白い粉状の付着物(エフロレッセンスと呼ばれる、内部の水分が表面に染み出してできる現象)
- 基礎周辺の土がえぐれている、または沈んでいる箇所
これらは必ずしも今回の浸水だけが原因とは限らず、経年劣化によるものが混ざっている場合もあります。ただ、浸水前と比べて明らかに変化が大きくなっている、幅の広いひび割れが新たにできているといった場合は、専門業者による診断を受けておくと安心です。
屋根・雨樋・軒天・破風鼻隠しの確認は専門業者に
屋根や雨樋、軒天(軒の裏側の部分)、破風・鼻隠し(屋根の側面や先端に取り付けられている部材)は、浸水そのものよりも、大雨や強風を伴う水害の際に被害を受けやすい部分です。飛来物による破損や、強風でのめくれ・ずれが起きることもあります。
これらの部位は高所にあり、自分で登って確認するのは大変危険です。地上から見て、以下のような様子がないか確認する程度にとどめ、詳しい点検は専門業者に依頼しましょう。
- 雨樋の外れ・歪み・詰まり(落ち葉やがれきが詰まっている場合もある)
- 屋根材のずれや破損(地上から見える範囲で、双眼鏡を使うのもひとつの方法です)
- 軒天のシミ・剥がれ・垂れ下がり
- 破風板・鼻隠しの変色・剥離・浮き
多くの外装業者では、ドローンを使った屋根診断を行っているケースもあり、実際に屋根に登らずに被害状況を確認できる方法もあります。屋根や雨樋の点検頻度、修理費用の目安については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
【関連記事:屋根点検はいつ・どうやる?頻度と方法・無料点検の見極め方と点検商法への対策を解説】
【関連記事:雨樋交換の費用相場は?全交換20万〜70万円の内訳とメートル単価・火災保険の使い方を解説】
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外装を放置するとどうなる?二次被害のリスク
外装部分の被害に気づかないまま放置すると、時間の経過とともに次のような二次被害につながる可能性があります。
- 外壁内部や基礎周辺でのカビの発生(湿度が高い状態が続くことで、目に見えない部分から広がることがあります)
- 木部や金属部分の腐食・サビ(構造材や金物部分にまで及ぶと、耐久性への影響も懸念されます)
- 建材が水分を含んだままになることによる劣化の進行(乾燥が不十分だと、本来の耐用年数より早く傷みが進むことがあります)
- 断熱材の吸水による、断熱性能の低下(冷暖房効率が落ちたと感じる場合、これが一因になっていることもあります)
ただし、これらの症状が必ず起こるわけではなく、浸水の深さや時間、建材の種類、その後の乾燥状態によっても大きく異なります。過度に心配しすぎる必要はありませんが、「見えない部分に水分が残っていないか」を早めに確認しておくことは、住宅を長く維持するうえで有効な備えといえます。
なお、天井にシミが出ている場合は、外装からの浸水以外に雨漏りや結露が原因のこともあります。原因の見分け方は以下で解説しています。
【関連記事:天井のシミの原因は?雨漏り・結露・漏水の見分け方と放置したときのリスク・対処法を解説】
外装の修理・復旧の進め方
外装の被害が確認できたら、修理・復旧に向けて次のような流れで進めるのが一般的です。
- 専門業者による現地調査・診断:外壁・基礎・屋根・雨樋などを含めた建物全体の被害範囲を確認します。目視だけでなく、必要に応じて散水試験や含水率の測定を行う業者もあります
- 見積もりの取得:被害箇所ごとに必要な工事内容と費用を確認します。可能であれば複数社から見積もりを取り、内容を比較すると安心です
- 補修・修理工事の実施:外壁の部分補修や全面補修、シーリングの打ち替え、基礎のひび割れ補修、雨樋・軒天・破風の修繕など、被害内容に応じた工事を行います
- 再点検:工事後、水分が残っていないか、他に気になる箇所がないかを改めて確認します
床・壁・断熱材・設備など、室内側の復旧まで含めた全体的なリフォーム内容については、以下の記事で詳しく解説しています。外装と合わせて確認しておくと、復旧の全体像がつかみやすくなります。
【関連記事:水害後のリフォームは何が必要?床・壁・断熱材・設備の復旧ポイントを解説】
火災保険の水災補償について
浸水による外装や建物の被害は、火災保険の水災補償の対象になることがあります。ただし、契約している保険の種類・特約内容や、床上浸水・床下浸水などの被害の程度、建物の損害割合が保険会社の基準に達しているかどうかによって、実際に補償を受けられるかは変わってきます。
「浸水したから必ず補償される」というわけではなく、契約内容や被害状況によって個別に判断されるため、補償の可否や計算方法については以下の記事もあわせてご確認ください。
【関連記事:火災保険の水災補償「損害割合30%」とは?計算方法と注意点を解説】
【関連記事:火災保険の水災補償における地盤面から45cmの浸水基準と床下浸水の関係】
まとめ
浸水後は室内の片付けに目が向きがちですが、外壁・基礎・屋根・雨樋・軒天・破風鼻隠しといった外装部分は、雨風から住宅を守る大事な役割を担っているため、あわせて状態を確認しておくことが、その後の劣化や二次被害を防ぐことにつながります。
「見た目には大きな被害がなさそうだから」と自己判断せず、少しでも気になる箇所があれば、無理のない範囲で記録を残し、専門業者に相談してみてください。高所や危険を伴う点検は決して無理をせず、必要な補修・復旧を一つひとつ進めていきましょう。
そもそも水害リスクの低い土地選びやハザードマップの確認方法については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
参考記事:ハザードマップの見方|家を建てる前に確認したい土地の判断基準|りそうぐらし
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